アブストラクトSMC 61 星団、LMC 147 星団の UBV 積分測光を行った。これらの観測から 星団年齢系列を導き、 SMC 50, LMC 141 星団の年齢分類を与えた。どちらの 星団でも異なる年齢間で空間分布が驚くほど変わる。 SMC では若い星団が バーの中か近くに固まる。一方、古い星団はそこを避けている。LMC の 非常に若い星団はシャプレーのコンステレーションに集中している。LMC 星団 システムの中心はバーからかなり外れている。1.イントロ銀河系、LMC, SMC で星形成史、メタル変化が異なっている事が明らかに なってきた。星団積分測光はマゼラン雲進化の理解に良い情報をもたらす。 積分測光は色々な文献に散らばっているのでそれを集め、新たな観測を加えた。2. LMC星団の観測CTIO 1.5 m により LMC 17 星団の光電測光を 25" ダイアフラムで 1976 年 に行った。![]() 図1. g-r カラーと B-V カラー |
3. UBV 測光データの収集表2、3に載せた。Q は Johnson,Morgan 1951 による赤化フリー パラメターである。4. uvgr 測光との比較Searle, Wilkinson, Bagnuolo 1980 は 73 星団の uvgr 測光を行った。内、 71 は UBV 値を有している。図1には g-r カラーと B-V カラーを比べた。g-r = 1.00(B-V) - 0.39 という関係が得られた。図2には u-g と U-B の関係を示す。 ![]() 図2. u-g カラーと U-B カラー |
星団の色等級図 図3に LMC の、図4に SMC の色等級図を示す。どちらも多数の若くて 青い星団と少数の古くて赤い星団の似た分布を示す。古い星団と若い星団 の間のかなり目立つギャップは次の二つによる: (a)散開星団の大部分は (B-V) ∼ 0.5 に達する前に分解する。 (b)生き残った星団のかなりが検出限界以下に暗くなる。 ![]() 図3. LMC 星団系の色等級図 |
星団間の光度分布の差 第5番目に明るい等級で比べると LMC で V = 9.6 (Mv=-9.0), SMC で V = 11.2 (Mv=-7.7) で LMC の方が相当明るい。この差は単なるサンプル数の 差によるよりは少し大きい。 ![]() 図4.SMC 星団系の色等級図 |
S 字型のカーブ 図5には星団カラーの分布を示す。全体として光度分布には大きな差がない。 図6には二色図を示す。大部分は S 字型のカーブに沿って並ぶ。カーブの 周りの分散は比較的小さく、これは、 (1) LMC, SMC の観測領域で赤化が小さい。 (2) 赤化が大きい星団は暗くなってサンプルから落ちた。 (U-B) カラー差 U-B=-0.5 付近では SMC 星団が LMC 星団より僅かに青い。この差は SMC で赤化が小さいためかも知れない。古い星団では LMC の方が SMC より U-B で 0.1 等赤い。興味深いのは LMC の古くて赤い星団のカラー が銀河系球状星団(Racine 1973)からずれていることである。これは van den Bergh, Hagen 1968, Bernard 1975 も主張していた。 ![]() 図5.マゼラン雲のカラー分布。上= LMC, 下= SMC |
![]() 図6.マゼラン雲の二色図。偏差の原因として、(1)赤化、(2)エラー、 (3)M-型超巨星、(4)星団間の差、が考えられる。実線=光度クラス V の星の二色図カーブ。 |
7.1.星団年齢グループUBV カラーにより 4 つの年齢群に分けた。
非常に若い星団の 62 % は輝線放射領域内で見つかった。そういう所には 若い、中間年齢、古い星団の 5 % しか存在していない。 7.2.SMC における星団分布図7に SMC 非常に若い星団の分布を示す。現在の星団形成がバー北東端に 集中している事は明らかである。もう一箇所はウィングの東端である。図8には SMC 若い星団の分布がバーに沿ってとバー北東端に分布することが示される。 面白いのはバー南西端での渦状分布である。中間年齢星団の数が少ないので飛ばし、 図9の古い星団分布は非常に拡散している。興味深いのはバー領域に古い星団が 全く見られない事だ。![]() 図8.SMC における若い星団の分布。バーに沿ってと端に分布する。 |
![]() 図7.SMC における非常に若い星団の分布。バー北東端に集中する。 ![]() 図9.SMC における古い星団の分布。バーへの集中はなく広く分布する。 |
7.3.LMC 星団の分布LMC 星団の年齢群毎に分布を図 10 - 13 に示す。図10の非常に若い 星団の分布はシャプレーのコンステレーションと似る。図14にコンステ レーションの外郭を示した。若い星団の分布(図11)は全く違う。特に 活発な形成域がバーの西端の先と 30 Dor の東側にある。若い星団の 分布は 0.9 < logP < 1.4 セファイドの分布 (Payne-Gaposchkin 1970) と似る。![]() 図10.非常に若い星団の分布は LMC コンステレーションと似る。最大の 集中はコンステレーション III に見られる。 ![]() 図12.中間年齢星団の分布。 |
それらのセファイドの年齢は 2000 - 4000 万年である。中間年齢星団の
数は少ないので図12から確かな結論を導くには足りない。おそらくその中
の幾つか, NGC 1801, 1830, 1856, 1872, 1953, 2056, 2107, SL 562, は
バーに付随しているのだろう。一方 NGC 1831, 1849, 2249 は円盤かハロー
種族であろう。図13には古い星団の分布がバーの西側に片寄っている事を
示す。これは de Vaucouleurs, Freeman 1973 が指摘した。
![]() 図11.若い星団の分布はバーに沿って、及びバー西端の先に集中している。 ![]() 図13.古い星団の中心はバー中心より西にずれている。 |